月別アーカイブ: 2013年4月

職場のストレスうつ 昇進うつ病-1 40代 男性 管理職

うつ病症状 40代半ばの中間管理職、牧田氏の「昇進うつ病」-その(1)

職場のストレスうつ 昇進うつ病-1 (40代 男性 中間管理職)

「うつ病」というと、なにか心にグサッとくるような事があったとか、頑張ったのに結果が良くなかったとか、イヤな事があって「落ち込みから抜け出せない」という心の状態をさすように思いがちである。しかし反対にうれしいことでもうつ病につながることもある。たとえば「職場での昇進」「結婚」「新居の完成」など。

ここで紹介する牧田氏も、同期入社仲間のトップをきって課長に昇進した。うれしいはずの「昇進」が、なぜ「うつ病」に陥ってしまったのか。家族療法の視点から、心配する家族(妻)へのアドバイスを中心にお話ししよう。

「夫の風邪が治らないんですけど、心の病気では?」と妻から電話問い合わせ

妻: あのー、主人のことなんですけど。心配なことがありまして。よろしいでしょうか?

電話受付 : はい、どういったご相談でしょうか?

妻: 風邪をひきまして。それももう二カ月も前のことで。咳とかはないし、治ったと思ってたんですけど。(ハーッとため息がもれる) 夜「しんどい、疲れた」って言うわりには、寝付きが悪くて。それに朝、ベッドから起きあがるのがしんどそうで。腰が痛いとか、肱が痛いとか言って。微熱がなかなかすっきりしなくて・・・(だんだん小さな声に)

電話受付 : そうですか。どこかお医者さんでみていただかれましたか?

妻: はい、行きつけの内科で・・・「風邪はもう治ってます。仕事の疲労がたまってるんでしょう」って。薬をもらって飲み続けてるんですけど、いっこうに良くならないんです。それで私、心配になって。ひょっとして心の病気のほうじゃないかと。もう心配で、心配で。(ハーッ)

電話受付 : わかりました。こちらは家族療法ですので、ご家族の方に対してどう対応をすればいいかというアドバイスを中心にお出しします。

妻: それ、それ、それをぜひ教えていただきたいんです。家族がどう対応すればよいかを、アドバイスしてほしいんです。お医者さんが診てくれるのは、本人だけでしょう。私、どうしたらいいか、わからなくて。ビタミン剤、買ってくることくらいしか思いつかないものですから。助かります。よろしくお願いします。

事例 40代半ばの中間管理職、牧田氏の「昇進うつ」。

こうして牧田氏と妻の瑛子さんは、予約日に二人でカウンセリング治療に来所することが決まった。「内科医院でだされている薬を二カ月飲み続けたが、なかなか良くならない。できたら薬でなくカウンセリング治療で治したい」という牧田氏と妻の希望が一致したということであった。

夫の昇進に、妻も子どもも大喜び

牧田氏の話をじっくりと聞いていくと、どうやらきっかけは4月の人事異動で新しい部署の課長に昇進したことのようだ。新しい任務への頑張りが空回りしたり、周囲の人たちになじめなかったり、随所につまづきの状況が浮かびあがってきた。「昇進うつ病」のようだと、治療担当カウンセラーは判断した。家族、ここでは妻だが、家での対応はどんな様子だったんだろう。妻にしっかりとグチなど話せていたのだろうか。またそれを聞いた妻はどう受け答えしていたのだろう。ここらあたりは、とても大切なポイントである。

同期入社の連中より一年早い昇進、しかも部下も今までより3人も増えて。「一刻もはやく家に帰って、妻や子どもたちに知らせたい、喜ぶ顔がみたい」と、牧田氏は胸をふくらませて帰路を急いだ。以下は家族との会話である。

妻: まあ、よかったわね。パパおめでとう。すごいじゃない。同期の人たちのトップを走ってるなんて。

牧田氏: いやー、僕もおどろいたよ。よくできる中田をさしおいてなー。この僕がお先にって感じで。

妻: これで私も課長夫人になれるのね。なんかうきうきよ。パパ、えらくなったのよ。あんたたちもパパをみならって、勉強がんばるのよ。(寄ってきた子どもたちにもこう告げた)

子(小1): ふーん、パパえらくなったの。課長ってどのくらいえらいの、社長の次くらい?ねー、腕ずもうしようよ。(父親の腕にぶら下がりながらうれしそうだ)

子(小5): パパ、僕の野球、相手してくれるよね。日曜日、試合見に来てくれるよね。約束だよ。

牧田氏: だいじょうぶ、だいじょうぶ。少年野球はパパも役員してるからな、手をぬけないんだ。パパ、頑張るぞー。仕事も家庭も野球も。心配するなよ

少年野球をやっている兄は、うれしい反面心配そうに念押しをした。「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と、笑顔で答えた牧田氏であった。

課長に昇進したのはうれしいが

しかし船出はそう簡単ではなかった。いままでは営業企画課で、どちらかというと社内での仕事が中心。ところが今は営業第一課の課長である。いわば会社の出世コースナンバーワンのポジションである。社外にむけて陣頭指揮をしなくてはならない。部下も5人だったのが、今は8人。どうも勝手がちがう。やる気がからまわりしがちの毎日となった。

三ヶ月たったころ、部下たちのあいだに新課長の勤務評価なるものが、ひそひそとささやかれるようになった。「なー、牧田課長って、ほんとうに有能なんか。ちょっとちがうよな」「決済の判子もらわないといけないのに、遅いんだよな」「企画で頭使ってやる仕事だったら、あれでいいんだろうけど、ここは営業一課なんだ。とっさの判断、対応をしてもらわないと」。牧田氏の眉間にはしわができる日が増えていった。ある日決定的なできごとが上得意のK商事をめぐっておこった。

「課長、K商事からクレイムです。納品がまだかって。約束の日を三日もすぎてるのにって。かんかんに怒っておられます」。「え、三日も遅れてる?担当は野崎か。野崎、すぐにK商事へ飛んでいってこい」と指示をだす。牧田氏はとっさの判断、指示ができたと、自分ではホッとしていた。しかしこれが大間違いのきっかけだった。上得意からクレイムがはいった場合は、なにをさしおいても担当者をつれて課長みずからがかけつけなくてはならないという暗黙のルールがあったのだ。その対応を誤った牧田氏はその後会議で上司から厳しく追及されることとなった。

家でのようすを面接室で再現

「よくわかりました。新課長としていろんな行き詰まりを感じてこられたわけですね。社内では部下の人たちとのコミュニケーションに、社外では得意先への対応に。なるほど。それでですね、そういったできごとを、おうちに帰ってから奥さんに話されましたか?」「はい、わりと家内には以前から会社のことなんかは話すほうですから」。「それはいいですね。それでは今からここで、おうちで話された様子を再現してみてください。私はすみのほうで聞かせてもらってますから」と、カウンセラーは部屋のすみに、椅子を移動させた。

夫と妻の会話が、面接室で

1. 朝、女子社員がお茶を入れてくれない

夫: えーと、はじめはそんなに大変なことではなかったね。お茶がどうのこうのってくらいで。

妻: そうそう。女子社員の人がお茶をいれてくれないとか。ずいぶん気にして。

夫: いや、前の課では、僕がすわると、さっとお茶がでてたもんでな。こんどの課はお茶は自分で入れるってルールなんだって。そんなこと誰も言ってくれなかったんで、わからなかったんだ。

妻: そうでしょ。「気にしすぎよ」って、私、言ってるのに。気にしすぎなの、あなたは。

夫: うん、そうかもしれないな。ささいなこと、気にしすぎなんかもな。

2. 「飲みにいかないか」のさそいに、誰もついてこなくて

夫: からまわりしてる感じがするって話したよな。仕事おわって「おーい、みんな、飲みににいこうか?」って、声かけたけど、なんかしらっとして。誰もついてこないんだよな。僕、みんなに嫌われてるのかなって、思った。

妻: しょんぼりして帰ってくるからなにがあったのかって、心配したわよ。話し聞いて、「なーんだ。そんなことなの。いまどきの若い社員さんたちによくあることじゃない」って。「帰りたいのよ。仕事終わったらさっさっと。あなたの若いときとは、時代がちがうのよ」って、言ったような気がするけど。

3. 「このごろ会議で集中できないんだ」と言ったら

夫: ついこないだのことだけど「僕、会議で集中できない」って話したよね。

妻: うん、そうだったわね。

夫: どの議題がでても「僕は仕事ができない、だめだなー」って気がして。こんな気弱になったのははじめてだ。何をやっても、ダメな気がして。気分がゆううつでしかたない。坂田部長が「牧田君、あせってるよ。リラックスして。まだまだこれからだから」って、励ましてくれるんだ。

妻: ほら、みて。そうでしょう。あなたは仕事のできる人なのよ。今自信をなくしてるだけ。ちょっとしたことでがくっときて、あなたらしくないわ。がんばればなんとかなるわよ。

夫: うん、そうだね。がんばってみるよ。

事例 40代半ばの中間管理職、牧田氏の「昇進うつ」。

二人の会話を聞いていた治療担当カウンセラーは、要点を書き留めた用紙をもって席にもどった。「はい、お疲れさまでした。わかりました。なるほどこういった会話をおうちでされているんですね。いくつかのだいじなポイントがみえてきました。アドバイスをまとめたいと思います。ここでいったん休憩して5分後にまた面接を再開しましょう」。こう言って治療担当カウンセラーは、面接室をあとにした。

 

淀屋橋心理療法センターうつ病治療専門外来

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子育て育児中のお母さんこう思い込んでいませんか?

子育て育児ストレス悩み相談

子育て育児中のお母さんこう思い込んでいませんか?

 
 

母親同士で数人集まって話していると、例えば洗濯の仕方一つにしても5人いれば5通りのやり方があっておもしろいな、と思うことがあります。子育て育児においても、自分自身のやり方しか知らないので、実は必ずしもそうでなくてもいいのに「こうでなければ…」「こうしなければ…」などと一人で思い込んではいないでしょうか。

上記の項目は、自然に出来ていればもちろんそれでいいですが、出来ないのにこうでなければと無理をすることで、母親のストレスがたまったり育児ノイローゼや自信をなくしてうつっぽくなってしまう可能性があります。自分を追いつめるのをやめることで、心に余裕が出来て子どもにもプラスになるのです。

 

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子育て中の母親 育児ストレス悩み相談 別冊PHP 子どもとお母さんのこころの健康百科

 

別冊PHP子どもとお母さんのこころの健康百科

 

「別冊PHP 子どもとお母さんのこころの健康百科」 内容紹介

「子どもは元気がなにより」と思っていても子育て育児に母親の悩みはつきません。かわいくてたまらないのに、なぜこんなにストレスがたまるのかしら?母親自身を責めたり、子どもにあたったりする前に、ちょっとこれを読んでみて。きっと「ああそうか、こうすればいいのか」と一息つけますよ。自分が楽になるヒントをいっぱい見つけてください。

 

子どもと母親 こころの疲れをためないヒント150

PART1:お母さんのストレス編

  • 子育て育児  他の子に遅れてる、言うことをきかない、虐待、体罰、忙しい時にまとわりつく、わがまま、他
  • 人づきあい  赤面恐怖、話し下手、人に馴染めない、口臭、気配り下手、断り下手、一人でいるのが怖い、他
  • 嫁 姑  いじめ・差別、財布のひも、因習・序列、育児方針、家事分担、性格の衝突、生活習慣の違い、他
  • 夫 婦  家事協力、育児協力、対話、価値観、けんか、性格、くせ・習慣、収入、愛情表現、不協和音
  • 近所づきあい   マンション上下、共同作業、役員、無視・のけ者、過干渉、中傷・バッシング、交際の程度、他
  • 仕 事   評価・査定、人間関係、残業、低い仕事内容、職場の花、セクハラ、理不尽な上司、他
  • 日常生活   家事ぎらい、やりくり下手、自分の部屋がない、長電話を夫がいやがる、不眠、朝起き苦手、他
  • 自己実現  マンネリ感、もてる能力をさびつかせない工夫、社会からの疎外感、手に技術のないあせり、他
  • 老後・人生設計   貯金、年金、保険、ロ-ン、夫の世話、被介護、健康・病気、生きがい、定年離婚、他

PART 2:子どものストレス編

  • 性格・行動   チック、奇行、落ちつきがない、引っこみ思案、吃音、動作がのろい・ぐず、残忍、無表情、他
  • 友だち・社会性   友だちができない、いじめっ子、いじめられっ子、集団が怖い、友だちのいいなり、他
  • 能力・学習   失敗を恐れる、勉強が嫌い、集中力がない、体育ができない、塾・習いごと、先生との相性、他
  • 親 子   お母さんのガミガミ、過保護・過干渉、親の無関心・放任、反抗、親子の会話がない、甘える、他
  • 生活・金銭   起こすと機嫌が悪い、朝の動作・用意がのろい、食事の好き嫌い・偏食、寝つきが悪い、他
  • 進路・将来   学歴偏重、親のレ-ル・跡継ぎ、自信喪失、未来不安、親の反対、閉じこもり、他

 

カウンセリングの上手なかかりかた

淀屋橋心理療法センター福田俊一所長が、お母さまからの子育て育児のご質問に、わかりやすくお答えしています。

Q 1 : 軽い相談でも聞いてもらえるのでしょうか?

Q  2: 病院の外来のように行けばいいんでしょうか?

Q 3 : 子どもや育児に関する相談のときは、子どもを連れていくのですか?

Q  4: 一回のカウンセリング料って、おいくらぐらいかかるのですか?

Q 5 : 症状しだいでしょうけれど、どれくらい通わないといけないの?

Q 6 : “全治何カ月”のように、治癒の見通しは教えてもらえますか?

Q 7 : 体の病気と同じように、早期発見・早期治療がいいのですか?

Q 8 : 自分が責められたり、プライバシ-が暴かれるのではないですか?

 

著者からのメッセージ

「こういう本が一冊手元にあると、ほんとうにホッとします」と、三人の子どもをもつお母さまからの言葉です。子育てってほんとうに大変ですね。手がかかり、時間がかかり、体力が要って、そして終わりがない。そりゃ母親ですもの、わが子の成長が何よりの楽しみですが、だんだんそうとばかりは言ってられなくなるんですよね。

ストレスがたまって子どもを虐待するニュ-スが最近あとをたちません。悲しいことです。「でも気もちはわかるわ。もちろん私はそんなことまではしないけど」と、小さいお子さんを持っているお母さんの声です。

この本のいいところは「子育て育児はこうあるべき」といった視点から離れて、「え、これでもいいの」と思えるところです。子どもはみんな一人一人違うのですから、違ってあたりまえ。それがこの本を読んでいると、「そうか、これでいいんだ」ってホッとできるのです。

また「どうしていいかわからない」ときには「手引き書」みたいな本としても重宝。「あ、そうか。こうすればいいのか」と、簡単かつ具体的に教えてくれます。

もう一つのジャンルは「自己実現をめざしたい」お母さま方へのメッセ-ジです。子育て育児は一段落し「私も社会とつながりたいけど、どうしたらいいかしら」と悩んでおられるお母さま方はいらっしゃいませんか。多くの体験者のなかからでてきた貴重なアドバイスが、きっとお役に立つはずです。

子育て育児中のお母さん、これからママになる人、そして子育て一段落の自己実現をめざすお母さんたちにぜひおすすめしたい一冊です。

 
 
 
 

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うつ職場のストレス 新入社員女性 ミスが重なり自信喪失ストレスからうつ病(三ヶ月後職場復帰)

新入社員として銀行に入った大下美保(女性)のケース (新入社員 女性 銀行勤務)

うつ職場のストレス 新入社員女性 初歩的なミスが重なり自信喪失ストレスからうつ病(三ヶ月後職場復帰) 

 

就職したばかりの新入社員の人たちに抑うつ症状が増えています。「こんな事くらいで、なんで抑うつになるのかな」と思うくらい、小さなミスや失敗がほとんどです。今年大学を出たばかりで、新入社員として銀行に入った大下美保のケースを追ってみましょう。

美保はかなり優秀な成績で大学を卒業し、ある都市銀行に新入社員として勤務することになりました。就職の氷河期と言われて久しいのですが、無事合格を勝ち取れて大喜び。はりきって通勤していたのですが、3ヶ月たったころから体調を崩し元気がなくなってきました。淀屋橋心理療法センターにカウンセリング治療を受けにやってきた美保の話しに耳をかたむけていくと・・。

 

通勤電車で汗がだらだらとでてきた

「どんなご様子ですか?」という治療担当カウンセラーの問いかけに、美保はしんどそうに話し始めました。就職して一月たったころ、通勤電車で汗がいっぱいでてくるようになったそうです。五月だから汗ばむ陽気の日もありますが、汗がだらだらというのはたしかにおかしい。「なんかのぼせたみたいになって、体温調節がくるってしまったんやろか」と思って汗を拭いていました。「そら入社したてやから緊張してるんやわ。気にせんでもええんとちがうの」という母親の言葉に、一応美保は納得していました。

 

夜眠れなくなりめまいの症状

ところがさらに二月たったころ、夜が眠れなくなってきました。目をつぶると課長の顔が目の前に浮かぶし、やっと寝入っても打ちミスばかりした書類を前に叱られている夢をみたりします。「私、銀行にむいてないんやないかな。やめたほうがええんとちがうやろか」と、一人悶々とするようになりました。しかし銀行に就職が決まったと喜んでいる両親の顔をみているとそれも言いだせませんでした。

ある日パソコンの入力仕事をすませて立ち上がったとき、突然クラッとめまいが。あわてて机の上に両手をついて事なきをえましたが、それからたびたびめまいに悩まされることになりました。「家庭の医学」という分厚い本を開いてめまいの項目を読んでみると「メニエール病」という文字が飛び込んできます。「あー、私はたいへんな病気になってしもたんや。もうあかん、仕事続けられへん」とショックを受けて、ふとんから出られなくなってしまいました。

耳鼻科医院で「メニエールではありません」という診断をもらったものの、美保は職場に行こうとすると体中にしんどさがどっとでたり、頭がおもーくなりめまいを感じたりするようになって欠勤が増えてきました。

 

初歩的なミスとライフスタイルの変化

重苦しそうな表情の美保が母親につきそわれて、淀屋橋心理療法センターにやってきました。カウンセリング治療で話を聞いていくと、大きな失敗などでショックを受けたりしたのではなく、初歩的なミスや上司から受けた注意の積み重ねで、すっかり自信喪失になっていることがわかってきました。それに学生時代は自由時間がいっぱいあって自分のペースで過ごせましたが、働きだすと時間や行動の束縛がありライフスタイルの変化にもついていけていないことがわかってきました。

美保の話しにそって、新入社員によくある注意点を整理してみましょう。カウンセリング治療で一つ一つをていねいに聞きながらアドバイスをだしていくうちに、今では美保さんはすっかり元気になって職場に復帰しています。

 

「おはようございます」と大きな声で言えない

美保の課は課長さんを頭に6人のスタッフが働いています。席に着く前に美保は「おはようございます」と皆に頭をさげていました。「ちゃんとあいさつしてるし、これでいいんだ」と思っていましたが、「大下君、君のあいさつの声は小さいね。もっと大きな声で、元気良く言えないかね」と、課長さんから注意をうけました。「はい、すみません」「ちょっと、言ってみて」「おはようござます」と、立って2~3回繰り返し練習をさせられました。

美保にとって、この練習が意外にもつらかったのです。みんながこっちを見ているし、大きな声をだそうとしても喉がつまったようになって出なかったし。みんなの前で恥じをかかされた」という思いから、毎朝の出勤がつらくなりだした第一歩でした。

 

職場で使う言葉になじめずつい話し言葉になってしまう

先輩社員から仕事の説明を受けているとき、「えー、こんなんするの、すっごいわー」と、思わず学生調のしりあがりになってしまって。一瞬座がシーンとなったので、「あ、またやってしもた」とは気づいたのですが。仕事中に言葉づかいがしらずしらずのうちに、ため口調になってしまい何度か先輩に注意を受けていました。

 

得意先からの電話でミスして自信喪失

電話がなりだすと、とたんに緊張して表情がこわばってしまいます。こないだも「どちらさまですか?」と聞くのを忘れて田中さんにつないでしまいました。田中さんと聞いてすぐさま向かいに座っている田中さんだと思ってしまって「田中さん、お電話です」と。しかしそれはもう一人の田中部長への電話で、しかも大切なお得意さまからの電話だったのです。

課長から「何度同じ注意を受けたらなおるんや。もうあんたなんか来んでええ!」と、叱られてしまいました。「私なりに、ちゃんと取り次げたと思ったのに」と、美保は落ち込んでしまいました。学生時代は「勉強のできるしっかりものの美保ちゃん」で通っていただけに、自信喪失の体験はどさっと砂袋が肩にかかってきたような感じでした。

 

カウンセリング治療を受けて三ヶ月で職場復帰できた

「もう今は家でごろごろしてるだけでなんにもする気がしないねん」という美保に治療担当カウンセラーは、語りかけていきます。「今まで注意されたり、腹がたったりしたことを思い出せるだけ話してみて下さい」。治療担当カウンセラーは美保の悩みの一つ一つをていねいに聞きながら書き出していきました。「美保さんは、気にしーですか」という治療担当カウンセラーの問いに美保はハッとしたように「はい、私、気にしーです」と答えました。

「むかついたときは、大きく深呼吸して。はい、三回繰り返しましょう」。まるで小学生と対話しているようになってきました。「深呼吸か、ええもんですね」と、いつのまにか美保もついてきます。

「仕事したい。けど行くのいやや。課長の顔みるんがいやや」と、美保の口から怒りの言葉がでてきました。そのときの様子をくわしく聞いていくと、美保にはそれなりの理由があったようです。「Yさんが休みやって、私が一人でてんてこまいして頑張ってるのに、課長ゆうたら『遅いやないか。仕事の段取り悪いんちがうか』やて。もう超むかつく!」。美保は、課長に目をつけられてしまったようです。「課長ゆうたらね、いやみったらしく、『まだ見習いやで。正社員やと決まってへんからな』やて。わかっとう、しつこいな。くそおやじ。なんで私ばっかりいじめるんよ」って、涙が出そうになってん」と、美保は目に涙を浮かべながら話しました。

一つ一つの怒りや悩みを思いっきり話したあと、治療担当カウンセラーはアドバイスを出していきました。「そんなん考えてたら、うつ病ぽーなってきて。私なんかもうなんの役にもたたへんのやなって思いだします」という言葉もしっかりと受けとめながら。今までカウンセリング治療をした新入社員の失敗談も話して聞かせると、美保は「えー、そんなことがー。私だけやないんやね」と、うれしそうに笑いながら聞いていました。

カウンセリング治療をはじめて三ヶ月たったころには美保はすっかり元気になっていました。「ここで教えてもらった『職場での対応のコツ』を忘れず、実行してみます。ゆきづまったらすぐに飛んで来ますから、またよろしくお願いします」と、言いながら職場に復帰していきました。

 

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