
子育て育児の悩み母親のストレス相談 淀屋橋心理療法センターの本 『過保護・過干渉な親と連携をうまくとるには』 についての記事が掲載されました。
『児童心理』(金子出版 2010年4月号)
特集:甘える子・甘えない子

淀屋橋心理療法センターの記事が掲載されました。内容を抜粋・要約した文章をお送りしています。
●執筆者:福田俊一 精神科医 所長、 増井昌美 家族問題研究室長(淀屋橋心理療法センター)
●表題:「過保護・過干渉な親との連携をうまくとるには」
●目次&内容の抜粋・要約文
1.間違いやすい過保護・過干渉のとらえ方
…子どもの発達状態によって過保護・過干渉のとらえ方は変わってくる。「この子はもう少しほっておけば伸びる」といういときに手を出してあげるとできるようになるのなら、それは過保護・過干渉ではないだろう。…
2.過保護・過干渉は親子の相互関係から出てくる
…子どももさりげなく親の過保護・過干渉を誘発するようなしぐさをしている場合がよくある。家族療法の大家であるサルバドール・ミニューチンがよく使ったエピソードがあるので紹介しよう。「息子さんがちょっとサインを出すと、お母さんはすぐそれに食いついてしまいますね。息子さんは上手なフィッシャーマンですよ。お母さんはベイトを投げるとすぐパクッと食いついてしまう魚です。…
3.教師と親には立場の違いから温度差がある
…親には「担任にはわが子のことを一番考えてほしい」という気持ちが強くあり、「子どもについて心配なことがあれば、担任に話せばなんとかしてもらえる」という期待感も強いだろう。一方教師のほうでは「そんな小さなことで・・過保護ですね、お母さんは」とか「おおげさに騒ぎすぎじゃないですか」という言葉がでてくるというのも、教師と親の温度差をふまえてみると無理からぬ部分もある。
しかも両者は家庭と学校という互いの現場での細かな情報が不足しがちである。ボタンの掛け違え的な摩擦はしょっちゅう起こるしポイントの置き方や判断基準の違いも考えられる。こうした立場の違いをしっかりと頭において対応していかないと、両者の関係がこじれてしまうこともしばしばである。こうした状況にならないようにするにはどのようにすればよいのであろうか。
4.いじめ不登校で母親が来校したとき
…子どもがいじめられたと聞いて母親が学校にやってきた。「先生、息子が学校でいじめられているようです。今すぐ事実確認をしてください」と、真剣な表情で訴えてきた。教師は母親を安心させるつもりで「過保護ですね、お母さんは。私も担任としてしっかりと生徒のこと見てますのでご安心ください」と伝えた。事情を聞いてもらえるどころか過保護だと言われ、「学校でおきた問題なのに、過保護だと矛先を家庭に向けてくるのか」と、母親はカッとなったという話しがある。…
「そうですか、それはご心配ですね。気をつけて学校での様子をみておきます」と、一度受けて立つという対応がいいだろう。「息子さんにおかしいところがあったら、すぐにご連絡ください」といった同じ土俵に乗る言葉によって母親は動揺している気持ちを鎮めることができるだろう。…
5.相手の心にグサッとくる一言に気をつけよう
ムカッときても言ってはいけない一言というのがある。言うことでお互いの関係がギクシャクしてしまい修復が困難になるおそれがある。
『親が傷つく教師の言葉』
ケース1 「過保護じゃないんですか、お母さんは」
ケース2 「神経質すぎるんじゃないですか」
ケース3 「ご家庭でどんなしつけをしておられるんですか」
ケース4 「お母さんの育て方が悪いからですよ」
ケース5 「まあいいじゃないですか。それくらいのこと」
ケース6 「おおげさに騒ぎすぎじゃないですか」
ケース7 「(よく話しを聞かず)専門家に相談されたらどうですか」
6.子どもはいろんな顔をもっている
親は家庭で自分の子どもだけを見ていることが多いので、「子どものことは私が一番よく知っている」という思いこみが強くある。それだけに家庭での子どもの顔だけで判断してしまうということがよくある。…しかし子どもには親の知らない顔がたくさんある。学校で見せる顔、友達に見せる顔、塾での顔、それらが必ずしも一致しているとは限らない。…
7.教師と親が情報交換をすることで視野が広がる
親は外の世界での情報不足から視野が狭くなりがちだ。これが教師と親のズレや摩擦をうむことがよくある。「あの親は過保護・過干渉だ」と言っても、教師と親が話し合える場が作れなければ状況を改善することはできない。「過保護・過干渉」という言葉以前に互いの情報を交換できる関係づくりが重要である。…
親と情報交換ができる関係づくりだが、教師が学校での…
これだけで親の気持ちのなかに教師への信頼感がうまれ、互いの関係が好転する場合もあるにちがいない。親のほうでも「昨夜は遅くまでテレビをみていました」とか「晩御飯の手伝いをすすんでやってくれました」といった家庭での様子を教師に伝える。お互いにさりげない事実を伝え合う積み重ねで、今まで知らなかった子どもの一面が見えてくるであろう。お互い情報が増え視野が広がることで、互いが協力しあえる関係を築くことができるのである。

参考文献
(1)サルバドール・ミニューチン(著)福田俊一、増井昌美(訳)『思春期やせ症の家族ー心身症の家族療法)』星和書店一九八七
(2)福田俊一 増井昌美 『家族の心理療法』 朱鷺書房 一九九八
(表題の全文をお読みになりたい方は書店にてお求めになるか、金子出版(03-3941-0111)に直接お申し込みください)
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